傳馬 淳一郎 講師(児童学科)
名寄市立大学教員紹介のコーナーでご紹介するのは、短期大学部・児童学科の傳馬淳一郎講師です。傳馬講師は、保育所保育士・児童館職員を経て、2006年に北星学園大学大学院 社会福祉学研究科社会福祉学専攻修士課程を修了され、修士(社会福祉学)を取得されています。2007年に名寄市立大学短期大学部に着任され、保育者養成の中でも実習指導を中心とした学生教育と研究活動に積極的に取り組まれています。
研究活動では、保育者養成、特に「保育者(保育士・幼稚園教諭)の育ち」に焦点をあて、実習生から新米保育者、そして経験年数を重ねた中堅・園長とどのような過程を経て成長していくのかを研究されています。子どもの育ちに携わる仕事に「やりがい」を感じつつも、離職率の高い保育という現場の中で、お互いに高め合う「保育者集団」はいかに形成され、何よりも子どもの育ちのため、保育者や保護者もイキイキと輝く保育現場を作るお手伝いがしたいと活動なされ、保育士や幼稚園教諭を対象とした講演活動も活発に行っておられます。
1.ご自身の専門分野について教えてください。
専門は「保育学」です。といっても、「保育者養成」に関しての専門領域を担当しています。そもそもの始まりは、児童館で出会った親御さん方の「保育所の先生に説教された!」との声がきっかけで、「子育て支援」に興味を持ち始めました。今では当たり前になってきていることですが、子どもだけではなく家庭への支援も視野に入れながら保育することは、保育者の力量も問われるものだと感じています。
2.大学で主に担当されている教科と、教育に対する取り組みについて教えてください。
担当科目は「保育者論」「家庭支援論」「保育相談支援」「保育指導論演習」、そして「教育・保育実習指導」です。保育所や幼稚園に求められる役割は時代と共に変化してきています。そうした社会の要請に応えつつ、何よりも「子ども、保護者が元気になってもらいたい」との思いを持っています。そうした保育をできるような保育者を養成したいと日々学生と格闘しています。
3.現在とり組まれている研究内容について教えてください。
現在の研究の中心は「保育者の育ち」についてです。実習生や卒業生、現場で働いている保育者の方々の声に耳を傾けると、それぞれの立場で悩みや苦しみを抱えています。しかし、それは経験年数と共に変化しています。とはいっても、様々な理由で離職する方も多い業界です。ある報告では、現職保育者の9割が「保育にやりがいを感じる」と答える一方で、8割強の方が「辞めたい」と思ったことがあると答えています。退職者の理由の多くは「結婚・出産」であるとも報告されています。そこで、実際に退職意思を職場に告げた現場の保育者にインタビューを試みました。すると多くの方が「職員同士の人間関係」を理由に挙げました。保育者向けの講演等で「人間関係」の話題に触れると「私の職場もなんです…」と多くの方が辛さを語り始めます。
そうした保育者の方々が「実習生に求める資質」としてあげるものの一つに「コミュニケーション力」があります。子どもとのコミュニケーションはもとより、保護者や地域、そして「機能的な保育者集団」を目指して、職員同士の人間関係を築いていける保育者が求められているのかもしれません。保育者がより良く保育できるような環境について現状を整理しながら、現場にフィードバックできるような研究がしていきたいと思っています。それが子どもたちの未来につながることであると信じて。
4.名寄市立大学の学生に対する印象を教えてください。
「腹の底から笑い、頭から湯気がたちそうなくらい真剣に考え、恥ずかしいほど感動したり…。そんな真っ直ぐな児童学科の学生が、憎らしいほど大好きです」
そんな一文を大学案内に載せたところ、「くさいこと書くな~!でも、先生らしい!」と他学科の先生に茶化されました。学生全体の雰囲気は、その年によって色が変化すると感じています。でも、一人ひとりの真っ直ぐな「ひた向きさ」は変わらないと実習や進路に関する相談を受けるたびに気づかされます。
そして何より、本学の自慢は学生の「元気の良い挨拶」でしょう。これは誰に強制されたものでもなく、伝統的に続いている変わらない色なのかもしれません。うつむき気味の教員が学生からの「おはようございます!」で元気づけられるくらいです。保健福祉学部、短期大学部ともに対人援助職を目指す学生が多いからなのかもしれませんが、我々教員の側がそうした人との関わり方を見習わなければいけないと日々反省しております。
5.名寄市の印象はどうでしょうか??良いところ悪いところ含めて教えてください。また、おすすめスポットなど有りましたら教えてください。
既に多くの先生方が名寄市の印象について話しているので、私からは「おすすめスポット」について話してもよろしいでしょうか。
私の大好きなスポットの一つは、名寄市の「道の駅」です。特にそこで売っている「ソフト大福」が大好きです。「クリーム大福」も絶品です。「もち米の里」名寄のお餅をぜひ多くの方に食べて頂きたい。
「もち米の里」ということもあり、名寄は様々なイベントで「餅まき」をしていますよね。我が家でも子どもたちが、午前中に風連地区のイベントで餅をひろい、午後からは名寄地区のイベントで餅まきに参加して、夕食は山のように積み上げられた柔らかい餅を食べ放題なんてことがよくあります。冷凍庫には、イベントでまかれる小袋に入ったお餅が常備されています。知り合いの話では、餅まきの時に上を向いて餅をキャッチしようとしているようでは、「まだ甘い」とおっしゃっておりました。玄人は、足元に落ちる多くの餅を狙うそうです。皆さんも怪我をしない程度に試してみてください。
他にもイベントでは、「アスパラ祭り」が好きです。名寄の特産「アスパラガス」を中心に名寄の特産物が売られています。屋台ではアスパラを使用した焼きそばやバーガーなどが軒を連ねます。私の出身は名寄近郊でして、正直いいますと幼い頃、時期になると毎日食卓にあがるアスパラを食べ過ぎ、気づくと嫌いな食べ物になっていました。ですが名寄に住むようになり、アスパラ祭りをきっかけに「旨い!」と思えるようになりました。祭り終盤では、立派なアスパラの箱詰めが当たる抽選会があります。道外から単身赴任でいらしている児童学科の先生も、今年の抽選会で当たっていました。先生曰く「真っ直ぐコンビニから道外の家族へ送ってあげました」とのことでした。素晴らしい!父親の鏡だと思いました。我が家では、誰かにお裾分けするなんて発想もなく、「旨い旨い」と食べてしまいましたが…。
6.これから大学を選ぶに際して名寄市立大学を希望する高校生の皆さんへメッセージをお願いします。
どの学科の学生さんも実習や演習で「忙しそうだなぁ…」と負荷をかけてしまっている側でありながら他人事のように見ています。しかし、医療や福祉、保育の現場で活躍する多くの卒業生に出会うたびに、名寄市立大学一教員としてしっかり頑張ろうと気持ちを新たにさせられます。
人の生活に関わる仕事は、「やりがい」もある一方で大きな「苦しみ」も伴います。ぜひ、本学を目指す方には、目的意識をしっかり持って進学してほしいと思います。大学は、答えを「教えてもらう」場ではなく、答えを探し「自ら学ぶ」場です。専門職としてより良いケアとはいかなるものかを私たちと共に考えていきましょう。
皆さんにお会いできることを「ケアの未来をひらく」名寄市立大学で待っています!