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教員インタビュー 髙阪 悌雄 教授(社会福祉学科)

1.ご自身の専門分野について教えてください。

 専門領域は「社会福祉政策」「障害者福祉政策」です。

2.大学で主に担当されている教科と、学生教育に対する取り組みについて教えてください。

 主に社会福祉学科1年生を対象に「社会福祉原論」や「ソーシャルワーク論」を教えています。

 自ら検索して瞬時に答えを見つけるというネット時代を生きてきた今の学生に見合った授業を作っていくことは、私にとっても常に悩みの種です。こうした中、試行錯誤しながらも、今の若者の特性を活かしつつ、授業の中ではアクティブ・ラーンニングを一部導入しています。

 具体的には福祉の知識について「主体的に調べる」という軸に加えて、福祉の支援者や利用者について教室での疑似体験を通して「(心で)感じてもらう」という取り組みを導入しています。

3.現在取り組まれている研究内容について教えてください。

 障害者の地域生活の手段となる「障害基礎年金制度」や「障害者総合支援法の重度訪問介護」といった所得や介護に関する法制度成立経緯の中であった当事者や政治家、官僚といった様々な立場の人間と人間のぶつかり合い、言い換えれば、客観的な事実の上に立った人間模様やドラマをインタビューや資料等に基づいて描き出し、現行の法制度改善のための示唆を得ていくことを試みています。

4.名寄市立大学の学生に対する印象。

 今年7月に赴任したばかりなので、確信を持って言えることではないのですが、いくつかの授業や研究室での学生とのやり取りから、自分の考えを正確な言葉で伝えることのできる学生が多いと思いました。こうしたことは、同時に学生たちの自立に向けた志向性の高さを表しているようにも感じました。

 もちろん「自分とは何か」といったアイデンディティに関わる不安や悩みも併せ持った青年らしい姿も垣間見え、今後じっくりと対話を重ねていけたらと思っています。

5.名寄市の印象はどうでしょう?良いところ悪いところ含めて教えてください。

 私は7月という北海道では最も過ごしやすい快適な季節に移住してきたので、この原稿を書いている段階で、雪を経験しておらず、暮らしやすさ等の居住環境については省きます。

 名寄の地域活性化の取り組みについての印象を簡単に。北海道全体の市町村から札幌市に人口が流入していく中にあって、名寄市では自治体をあげて希少性のある農産物や加工品、ウィンタースポーツの普及に努める等、地域活性化への強い熱意を感じました。また、ユニークなビジネスモデルで街を盛り上げていこうとする市民もいて、人口規模も大きすぎない自治体の中にあって、どのような取り組みも埋もれにくく、注目を集めやすいというメリットがあり、当たれば大きな経済効果も期待できるのではと感じました。

 もちろん大学も名寄市の地域活性化の取り組みの重要な研究拠点に位置付けられています。全国的に過疎が進む多くの市町村の中にあって、名寄市は小規模ですが、産官学がしっかりと連携を取っていける、伸びしろのある町だと感じました。

6.これから大学を選ぶに際して名寄市立大学を希望する高校生の皆さんへメッセージをお願いします。

 私は社会福祉を教える教員です。授業では、時間の都合もあり、テキストにある社会福祉の専門的な知識・技術を教えることばかりに終始してしまい、より根底にある「人間とは何か」という深い思索を求める問いかけを学生に行えているのかという反省が常に頭の中にあります。一方、ネットで簡単に答えが見つかる時代にあっても、悩み苦しみながら深い思索を重ね自分の視点を身につけていくことは大切なことで、こうしたことができるのは青年期をおいて他にないと思っています。

 私が青年期に感銘を受けた愛読書の一つに渡辺一夫というフランス文学者の書いた「フランス・ルネサンスの人々」(岩波文庫)という本があります。中世キリスト教の旧教と新教の血みどろの争いを時代背景にして書かれた本です。この書で渡辺は、どのような革新的な思想・制度も時代とともに動脈硬化を起こし、それをかたくなに信じ続けるのは最早狂信であると述べ、そうした狂信に抵抗し、自由検討の精神を大切にした複数の人物の生きざまを丁寧に描いています。この書の考え方は、今の私の政策・制度研究の土台になっています。どのような専門を学ぶにしても、こうした自分にとって大切な視点をこれから大学で学ぶ皆さんには身につけてほしいと願っています。

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