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平成29年度 名寄市立大学入学式 学長告辞を公開しました。

本日ここ名寄市立大学に入学された新入生の皆さん、おめでとうございます。教職員を代表して心からお祝いと歓迎の意を表します。皆さんを新たな仲間としてお迎えすることは、私たち教職員にとっても大変喜ばしいことです。ご列席の父母・保護者の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。また、年度初めのお忙しい中ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまにも心より感謝申し上げます。

本日入学された皆さんは196名です。一般入試、推薦入試、社会人選抜、3年次編入など多様な入学試験を経て入学されました。これからの4年間あるいは2年間の大学生活が充実したものになることを祈念しております。昨日、名寄市立大学開学以来の念願でした新図書館の開館式がありました。皆さんは最新の設備の整った新しい図書館で勉強できるようになりましたので、大いに活用してください。

さて、名寄市立大学は1960年に設立された「名寄女子短期大学」を始まりとし、2006年に栄養学科、看護学科を4年制に変更し、さらに社会福祉学科を加え「名寄市立大学」として新たに開学し、昨年からは短期大学部の児童学科を4年制の「社会保育学科」とし、今年で12年目を迎えました。このように、名寄市立大学は、時代の要請に応え、半世紀以上の歴史を重ね、これまで8372名の卒業生を世に送り出してきました。これからは皆さんが、先輩の築き上げた伝統を引き継ぎ、さらに新たな伝統を創り上げて下さい。

毎年入学式で新入生の皆さんに一つのことをお願いしています。それはきちんと挨拶をすることです。人とのコミュニケーションの始まりは挨拶であります。皆さんが目指す職業はコミュニケーションなしでは成立しませんし、高いコミュニケーション能力が求められます。挨拶は私たちの日常生活、仕事を円滑に進めるために重要はツールであります。朝会った時の「おはようございます」の一言が皆さんの印象を大きく変えることになります。

いま日本は先進国の先頭を切って人口減少、少子高齢化という課題を抱えています。こういった人口構成のひずみは社会的弱者でありまた生物学的弱者である小児、高齢者にしわ寄せが来ます。名寄市立大学は、このような人々に対し、栄養、看護、社会福祉、社会保育の4学科を揃え、総合的に支援できる人材育成を目指しています。

社会が大学卒業者に求める能力は「自らの頭で考える力」であり「変化への対応力」であります。新しい状況を正しく理解し、その理解に基づいて問題を解決することのできる能力。教養教育で幅広く学び、専門教育で奥深く研究し、課外活動などで日々の課題解決の経験を繰り返すことにより「自分の頭で考える力」を培うことができます。こうした能力を獲得するには講義に出席して内容を習得するだけでは不十分で、皆さんが自ら学術的・実践的問題に関心を持ち、主体的に学ぶことが不可欠であります。

先日2016年の大学生活実態調査結果が発表されました。その中で、授業を離れた1日平均読書時間が24.4分と小学6年生以下であり、ゼロ時間の大学生が49.1%占めていたということです。その一方でスマートフォンの1日利用時間平均は161.5分です。確かに今はインターネットでなんでも調べられる時代ですが、情報の精度に対するチェック機能がないなど問題になっています。現代社会に生きる私たちがITを無視して生きることはできませんが、読書を通して学ぶことは、考える力を育む上では欠かせないものです。インターネットでは必要な情報がすぐ手に入りますが、情報以上のものを得ることはできません。それに比較して読書は、情報に加え著者がある物事に対して、どのように考えてその結論に至ったかの過程を知ることが出来ます。それはつまり、著者の「ものの見方」を知ることになり、沢山の本を読むことにより、自分の中にたくさんの「ものの見方」を持つことが出来ることになり、その結果「自分の頭で考える力」が身につきます。

名寄市立大学は開学時から、「自分の頭で考える力」を育む教育を目指し、実践してきたと自負していますが、忘れてはならないことが一つあります。それは、「自分の頭で考える力」もそれを発揮できる場所があって初めて役に立つということです。皆さんは、管理栄養士、看護師、保健師、社会福祉士、精神保健福祉士など、所定の単位を修得すれば自動的に与えられる資格ではなく、国家試験資格を目指している人が多くいるかと思います。まずはこの試験に合格することにより初めてスタートラインに立てるということです。

最近アメリカの労働市場では必要とされる労働力と提供される労働力のミスマッチが指摘されています。企業は、技術的な知識と高いコミュニケーション能力を持つ学生を必要としていますが大学はそれに応えれていないというのです。フィナンシャルタイムズのコラムニストの表現を借りるなら「今のアメリカの大学教育の一部は、社会に出てもほぼ役に立たない科目の資格を得るために高額な授業料を支払い、借金を背負い込む事態になっている」ということです。IBMは2011年に、欧米の300の提携企業と米国の6州60の高校が協力して、高卒の資格から、さらに2年間で準学士号まで取得できる6年制高校を立ち上げました。米国の大企業は自ら高度に訓練された技術者養成に乗り出したわけです。私は、大学は社会や企業に必ずしも迎合する必要はないと考えていますが、それには自らの責任を果たすことが前提であります。本日入学された皆さんは、高い授業料を払って4年間勉強するのは、大学卒業という資格を得るためだけではなく、社会に出て役に立つ知識・技術・資格を取得するためであり、私たち教員はそれを全力で支援したいと考えています。

中国の宋の時代の詩人、陶淵明(とうえんめい)の五言古詩に、

一日のうちに朝は、二度とこないように、若い元気な時は、再びこない。

それ故、学ぶべき時に充分勉強しておきなさい。歳月は人を待たず、いつの間にかすぎ去ってしまう、というのがあります。大学生活の4年間はあっという間に過ぎてしまします。皆さんが4年間、悔いのない大学生活を送ることを祈念して、告辞とします。
 

平成29年4月5日

名寄市立大学学長

佐古 和廣

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