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平成28年度入学式学長告辞を公開しました。

学長

 本日ここ名寄市立大学に入学された新入生の皆さん、おめでとうございます。教職員を代表して心からお祝いと歓迎の意を表します。皆さんを新たな仲間としてお迎えすることは、私たち教職員にとっても大変喜ばしいことです。ご列席の父母・保護者の皆様にも、心よりお慶び申し上げます。また、年度初めのお忙しい中ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまにも心より感謝申し上げます。

 新入生の皆さんは、いま大学入学と言う目標を達成し、これからの大学生活に希望と向学心に満ち溢れていることでしょう。この、いま現在の気持ちを4年間、いや一生忘れずに持ち続けて下さい。人というものはよほどの強靭な精神力の持ち主でない限り安易な道に流れやすいものです。そういう誘惑にかられた時、あるいはなにか辛いことに遭遇した時、今日のこの感動を思い出して、乗り切る糧にしてください。

 さて、名寄市立大学は1960年に設立された「名寄女子短期大学」を始まりとし、2006年に栄養学科、看護学科を4年制に変更し、さらに社会福祉学科を加え「名寄市立大学」として新たに開学し、今年で11年目を迎えました。本年からは短期大学部の児童学科を発展的解消し、4年制の「社会保育学科」を開設、一期生をお迎えしました。このように、名寄市立大学は、時代の要請に応え、半世紀以上の歴史を重ね、これまで8000名以上の卒業生を世に送り出してきました。これからは皆さんが、先輩の築き上げた伝統を引き継ぎ、さらに新たな伝統を創り上げて下さい。

 いま日本は先進国の先頭を切って人口減少、少子高齢化という大きな課題を抱えています。こういった人口構成のひずみは社会的弱者でありまた生物学的弱者である小児、高齢者にしわ寄せが来ます。名寄市立大学は、このような人々に対し、社会保育、栄養、看護、社会福祉といった学科を揃え、総合的に支援できる人材育成を目指しています。また、この4月に開設された「コミュニティーケア教育研究センター」は、学科間の障壁を取り払い、多様な観点から様々な知恵を出し合うシステムになることが期待されています。

 「ケアの未来を拓く」これは名寄市立大学のキャッチフレーズでありますが、まさに世界のどの国も経験したことのない超高齢化社会、2035年には日本国民の3人に一人が高齢者という社会の「新しいケア」を創り出していくことに挑戦することです。従来のケアの在り方では医療・介護の膨大な需要増加に供給が追い付かないことは明らかであります。すでに人工知能を搭載した介護ロボットなども出来ており、人工知能(AI)が自動運転の車をはじめとする私たちの日常生活だけではなく、医療・介護の将来を大きく変えると予想されます。

 先日、人工知能が世界最強といわれるプロ棋士イ・セドル氏を負かしたことは、私たちに少なからずショックを与えました。それは私たちの予想を超えて人工知能が長足の進歩を遂げていることへの驚きです。人工知能が人間を超えるなど荒唐無稽と考えられていましたが、「人工知能が人間を超える臨界点」が2045年であるということに由来する2045年問題がにわかに脚光を浴びてきました。

 アメリカ、デューク大学のキャシー・デビッドソン博士は、人工知能の発達により「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時には今は存在しない職業に就くだろう」とニューヨークタイムズのインタビューで答えています。また英国のオックスフォード大学は今後20年間で現在アメリカに702ある職業のうち、およそ半分は失われる可能性があることを予測しています。このように、今後人工知能が人間の仕事を奪うのではないかという懸念さえ出ています。
 しかし、このような人工知能にも不得手があり、それは「不確実性や感性などが求められる世界」であると言われています。そこに私たち人間の活路があります。
 この変化の激しい現代社会では不確実なものへの対応力は大変重要です。一般に将来を予測する最良の方法は決定を下す前にできるだけ多くの情報を収集することだと考えられています。だがこれはバックミラーだけを見ながら車を運転するようなものです。なぜなら、データを入手できるのは過去のものごとに関してだけだからです。経験や情報から多く学べることもありますが、現実社会では、経験を通して学ぶことが許されない状況が多々あります。その時、最善の解決策を導くには普段から「何が、何を、なぜ引き起こすのか」、原因と結果を深く分析できる普遍的理論を養うことであるとハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授は言っています。皆さんはこれまで受験勉強で、答えのある問題の正解を覚えることを重視する教育を受けてきました。でもこれから学ばなければならないのは、正解があるかないかもわからない問題に答えを見つける能力です。そのためには「継続的努力」と「考える方法」を身につけることであります。
 感性を磨くことは、基本は相手の立場に立って考える習慣であり、「人との対話」から磨かれるものです。人とのコミュニケーションの始まりは挨拶であります。名寄市立大学初代学長の久保田先生のモットーは「挨拶日本一」でしたし、前学長の青木先生も昨年の入学式の告辞で「挨拶の重要性」を強調されています。私も皆さんには、感性を磨く意味でもきちんと挨拶が出来、コミュニケーションを上手にとれる人になっていただきたいと思います。皆さんはそれぞれの分野でプロフェッショナルになることを目指しているわけですが、それぞれの専門領域で最先端の知識を身につけることは当然のことですが、それに加え、「不確実性への対応力」と「豊かな感性」をこの4年間で習得することが、卒業後優れたプロフェッショナルになるには必要不可欠であります。本学の入学試験に合格した皆さんは、その資質を十分有していると私は確信しています。

 私はこの4月1日に学長に就任したばかりです。皆さんと同じ1年生です。名寄市立大学の教育・研究の水準をさらに高め、皆さんが名寄市立大学を卒業する時に名寄市立大学で学んで良かったと思える大学にしたいと考えています。

 最後になりますが、大学時代の4年間は講義やレポートなどで忙しく感じるかもしれませんが、後で振り返えると人生の中でもっとも時間の余裕のある時であります。友人との交流を深めたり、本を読んだり、サークル活動に熱中したり、大学生活を大いに楽しんでください。そして真のプロフェッショナルを目指して大きく成長して下さい。皆さんの健闘を祈ります。

平成28年4月5日

名寄市立大学学長 佐古 和廣

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