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清水池 義治 専任講師(教養教育部)

 名寄市立大学教員紹介のコーナーでご紹介するのは、保健福祉学部・教養教育部の清水池義治講師です。清水池講師は、2009年に北海道大学大学院農学院共生基盤学専攻博士後期課程を修了され、博士(農学)を取得されています。同年に名寄市立大学に着任され、経済学を中心に、学生教育と研究活動にとり組まれています。
 研究活動では、名寄など道北地域を対象に農産物をブランド化する方策について、フランスなどの同様の地域との国際的な比較から、新しい地域農業のあり方について探求しています。これらの研究によって得られた成果は、多くの論文や書籍として公表されています。このような研究に関するご活躍が評価され、2011年7月に『日本農業市場学会奨励賞(川村・美土路賞)』を受賞されました。
 清水池講師は、名寄という小さな町の農業をモデルに、北海道さらには日本の農業の将来について考える農業経済学のエキスパートです。

清水池01

1.ご自身の専門分野について教えてください。

 専門分野は、応用経済学のひとつで農業・食料を対象にする「農業経済学」です。最近では、農家経営・食料環境問題・食料自給率・農村社会・食品産業・食料消費など非常に幅広い対象を扱う学問になりました。その中でも、私は特に農産物・食品の流通・取引について研究しています。

2.大学で主に担当されている教科と、教育に対する取り組みについて教えてください。

 経済理論を学ぶ「経済学」、現代社会で起きている経済問題を取り扱う「現代経済論」を担当しています。人間社会は、経済活動があってはじめて成り立っています。経済活動のない社会はありえません。社会人として最低限知っておくべき経済の知識を中心に、私たちの社会がどういうメカニズムで成り立っているかを学びます。
 また、「北海道の農と食」という科目も担当しています。この科目では、単に北海道農業を座学で学ぶだけではなく、実際に名寄市内の農家へ行って農作業を体験する実習にも取り組んでいます。農業の重要性が改めて見直されている時代です。農業地帯にある大学の立地をいかしたユニークな講義だと思うので、ぜひ受講してみてください。

農業体験の様子

3.その『北海道の農と食』という講義で農作業体験実習を行っているそうですが、どのような実習なのですか?

 1班3~4名ずつに分かれての農作業体験実習を3回ほどおこなっています。おおむね月末の日曜日の午前中です。2011年度は、受講者が60名いたので、市内の農家20戸に受け入れてもらいました。実習内容は農家ごとに異なりますが、野菜の苗植え・アスパラガスやトマトの収穫・田植機試乗・草取りなど、いろいろなことをやっています。農家の方と話をする機会も多いので、農業のありのままの姿に触れることができます。秋には、農家の方と学生の交流会もやっていますよ。

4.現在とり組まれている研究内容について教えてください。

 いま取り組んでいる研究のキーワードは「地域ブランド」です。最近、地元の農産物や加工食品をブランド化して、地域の活性化を目指す動きが盛んです。地域ブランド化の取り組みを支援する国や地方自治体の政策を、日本とフランスとで比較し、本当に地域活性化につながっていく政策のあり方を示していきたいと考えています。
 フランスの制度で特に注目しているのは地域自然公園制度(Parcs Naturels Régional)で、地域住民が市町村の枠を超えた話し合いを通じて地域それ自体をブランド化していくという大変おもしろい政策です。小規模自治体を安易に合併させるのではなく、小規模自治体が力を合わせて地域振興をおこなう仕組みを作り上げており、日本からみても学ぶべきことが多い制度だと考えます。

5.名寄市立大学の学生に対する印象を教えてください。

 一言で言うと、「まじめ」という印象です。アルバイトなどで時間が限られている中で懸命に勉学に励んでおり、それに対して遊んでばかりいた私の学生時代を思い起こすと、頭が下がるばかりです。
 若い学生が700名もいることの存在感は地元ではとても大きいです。単なる働き手にとどまらず、その存在自体が名寄を元気づけているのは間違いないでしょう。学生はそのことをもっと誇りに感じていいと思います。

6.名寄市の印象はどうでしょうか??良いところ悪いところ含めて教えてください。また、おすすめスポットなど有りましたら教えてください。

 思ったより住みやすいところです。赴任する際は正直なところ心配だったのですが、駅周辺の狭い範囲内にスーパー・コンビニ・商店街・飲食店・役所・郵便局・図書館などが集中してあり、とても便利です。郊外には全国大手量販店や家電量販店、有名カジュアル衣料品チェーン店もあり、名寄で買えないものはそんなにありません。
 また、星が非常にきれいに見えます。すこし市街地から出ると、天の川もはっきり見えて感動的です。最近できた立派な市立天文台「きたすばる」と合わせて、名寄の自慢できるところだと思います。
 名寄には農業、天塩川、森といった有望な地域資源があります。北海道の農村地帯はフランスの景観によく似ているのですが、特に市街地外の天塩川流域周辺の景観は、あの有名なセーヌ川の中流域、そして古城で有名なロワール地方を想起させます。これら地域資源を活かした地域振興の取り組みが活発化していますが、まだまだ統一的な動きになっていません。名寄でひとつにまとまって、そして周辺の自治体とも密接に協力しながら、地域振興をやらなければならない段階になっていると考えます。

7.これから大学を選ぶに際して名寄市立大学を希望する高校生の皆さんへメッセージをお願いします。

 大学は、「教えてもらう」ところではなく、「自分から学ぶ」ところです。大学の講義を受講するだけで学べることは実はさほど多くありません。私の経験ですと、大学の講義で習った内容はすでにあまり覚えていませんが(笑)、講義をきっかけにして自分で勉強したことは強く印象に残っていますし、身についていると思います。積極的に自ら学ぶ姿勢を大切にしてください。
 また、興味関心の範囲を意識的に広くしていってください。栄養は栄養だけ、看護は看護だけ、社会福祉は社会福祉だけ、児童は児童だけを学ぶのであれば、大学に行く意味はないと私は思います。みなさんは大学を経てさまざまな職種に就職することになるでしょうが、それらの仕事は程度の差はあれ「人間」を対象とするものになります。人間は、ひとつの学問で説明し尽くせる存在ではありません。人間をいろいろな異なる視点から考えてみる。そのためには、まずは、とにかくたくさん読書をする、そしていろいろな人と話をしてみてください。そうすれば、大学生活がもっと楽しくなりますよ。

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